ずっと気になっていたスカイメモPをネットオークションで手に入れました。
スカイメモシリーズは,PからQ,(ST),NS,Rと進化??していきましたがその
初代のものです。
僅か?30年前の機種ですが,恒星時で駆動するため今では考えられない
当時の努力に気づきましたのでちょっと一言。
当時は水晶発振を使ったステッピングモーターや,PLL制御のDCモーターは
一般的ではなかったので,安定した回転を得るのにシンクロナスモーターを使っていました。
シンクロナスモーターは名前の通り,電源周波数に同期して回転するので
その回転数は3000や3600RPMとなり,モーター直結のギヤで減速した場合も
1RPMなど,キリの良いものになります。
このままでは一般的な144枚や360枚のウォームホイールと組み合わせても
太陽時駆動になってしまうので,当時の設計者はギヤの歯数で太陽時より
約0.27%早い恒星時を作ったのです。
有名なのが351枚のウォームと45/44のギヤを組み合わせ,これを1/4RPMの
シンクロナスモーターで駆動する方法で,この場合太陽時より0.284%早く
ほぼ恒星時になります。(351×45/11を1RPMで駆動した機種もあります)
今回のスカイメモPはウォームホイールが120枚でこれに60/19×72/19の
中間ギヤ経由で1RPMのモーターで駆動しています。
わかりやいように片方の分子を60に置き換えて144枚換算で考えると,
60/19×60/19=3,600/361=9.9723になり,太陽時に対して0.277%早い見事な
恒星時になります。数字のマジックみたいですね。
プログラマブル分周器を使えばこんな苦労はしなくて良くなったのですが
その分周器も今では殆どが廃盤となりました。
たった30年ですが,電子技術の進歩の早さには驚かされます。
写真はそのスカイメモPのギヤレイアウトでモーター軸に19枚
中間ギヤに60/19枚,ウォームに72枚のギヤが付いています。