最近の天体写真撮影現場では赤道儀の駆動装置やパソコンの
電源を確保するため大容量のバッテリーから分配するケースが
多いようで,一部ではデジカメの電源も供給されているようです。
単一電源から分配する場合,単に放射状に分配するのであれば
なにも問題ないのですが,注意しなくてはならないのは
電源を供給された機器どうしを他のケーブルで接続する場合です。
例えば,
・デジタルカメラには三端子レギュレーターで降圧した電源を供給
・パソコンには12Vから15Vに昇圧する電源から供給
放射状の接続ですので,このままでは何も問題ありません。
ところが,両者をUSBケーブルで接続するとどうでしょう。
一般にデジカメやパソコンのUSB端子のシールドは
電源のマイナス側と繋がっているのでマイナス側はループ回路
が形成されていまいます。
(シリアルやパラレルのフードもマイナス接続です)
この状態でもお互いのUSB端子部はほぼ同電位ですから
大きな問題はありませんが,片方のマイナス側が浮くと
USBケーブルを通して浮いた側の全電流が流れてしまいます。
パソコン側が浮くと2A程度の電流がデジカメ経由で
バッテリーに帰る事になります。
これでデジカメが壊れる事はないと思いますが,予期せぬ
ケーブルの短絡などが起きれば,大きな短絡電流が流れ
確実に機器を壊します。
(バッテリーは内部抵抗が極端に小さいため短絡時は
もの凄い電流が流れます。特に注意が必要です)
対策としては,入出力間がアイソレートされた電源を使うのが
ベストですが,マイナス側にはヒューズを入れないことでも簡易
的な対策となります。
USBケーブルで繋ぐだけでは大きな問題はないと書きましたが
実は,ループが形成された時点でUSBケーブルには信号以外の
電流が流れます。
(電源ケーブルとUSBケーブルにはそれぞれのインピーダンスに見合う
電流が流れます)
電源にはスイッチングノイズなどが乗っているので好ましくありませんね。
注:全てのデジカメやパソコンのUSB端子が電源のマイナスと
直接繋がっているかは定かではありません。