久しぶりにMARK-X赤道儀のオーバーホールを行いました。
MARK-Xは小型赤道儀の名機と言われていますが,その構造にも特徴があります。
写真は上から,極軸ハウジング,ウォームホイール及び極軸で
組んだ状態での軸方向の位置関係が解るように並べています。
極軸はハウジングの筒状の出っ張り(銀色の部分)の中をとおり
その外周にウォームホイールが配置されます。
(ウォームホイールはハウジング側の出っ張りの外周と接しており
極軸とは北端のクランプ締め付け部で接しているだけです)
そのため,極軸にかかる荷重はハウジングで受けウォームホイール
には殆どかかりません。
軸周りの隙間の影響を受けにくい優れた構造です。
これに対し,一般の赤道儀にはハウジング側の出っ張りは無く
極軸北端のプレートとハウジングの間にホイールが挟まった構造です。
通常1/100~2/100mmほどの極軸とハウジングのすきまがあるので
荷重がかかる事で軸は偏芯し,その分がもろにウォームホイールと
スクリューの噛み合いに影響します。
極軸側は荷重の方向が常に一定方向(ホイールとスクリューの
位置関係は同じ)のためまだ良いのですが
赤緯軸はテレスコープウエストとイーストで荷重の方向が逆になるので
バックラッシュの原因になります。
MARK-Xの人気にはちゃんとした構造的な裏付けがありますね。
この優れた構造はZEISSの小型赤道儀で採用していたそうです。
また光耀のMG506もこの構造です。
MG506と言えば,注文したのに入手できなかった私にとって幻の赤道儀です。