銀塩では高性能だった高級なカメラ用APO望遠レンズでも
諸収差の影響でデジタルでは使えないことは多いようです。
典型的な例をあげれば,Zuikoの100mmF2です。
銀塩では素晴らしい星像で有名でしたが
デジタルでは星が紫色に写り,がっかりしました。
(このレンズはAPOではありませんが,EDガラスを使っていたようです)
一方ZEISSのTele-Apotessar400mmF4はほとんど着色はなく
デジタルでも充分使えます。
では,デジタルでも使えるレンズとそうでないないレンズを
どうやって見分けるかですが
一つの方法としては赤外補正マークの位置が参考になるようです。
本来色収差(着色)の程度は実写して評価すべきですが
私は写真のようにアイピースをつけ,遠くの碍子に反射する太陽光で検査します。
こうすると色の出方の他,レンズの圧迫なども検査できます。
こうして各レンズの着色具合を検査した結果と,各レンズの赤外補正マーク位置は
ほぼ関連していました。
赤外補正が多く必要=色収差による焦点位置が異なる度合いが大きいのだから
当然ですね。
下の写真は今回テストしたレンズのピント指標付近です。
左から,
・SMC PENTAX67 400mmF4ED(IF)
・SMC PENTAX-FA 645 300mmF4ED(IF)
・Zuiko250mmF2
・Tele-Apotessar400mmF4
・MAMIYA645 Apo 200mmF2.8
・MAMIYA645 Apo 300mmF2.8
PENTAX645の300mmは銀塩では高性能で有名でしたが
デジタルではやや色が出て明るい星の廻りが紫になります。
色の出方は67の400mmの方が少ないです。
Zuikoの250mmは圧倒的な明るさで気に入っていますがやはり星は紫になります。
ただL41フィルターを併用すれば色はかなり軽減されます。
以上3本の赤外補正マークはかなり離れていてアイピース検査と一致します。
Tele-Apotessarの400mmは前記のとおりデジタルでも殆ど色は出ません。
裏付けるように赤外補正量は僅かです。
(色が判りにくいのですがピント指標の直ぐ右の線です)
色収差はほとんどありません。
(取説にTele-Apotessar中,最高を極めたレンズとあります)
MAMIYA645の200mmは赤外補正マークはかなり離れていますが
PENTAX645より色はずっと少ないようです。
最後にMAMIYA645の300mm。赤外補正マークがありません。
同社のRZ用は全てのAPOレンズで赤外補正が不要です。
いずれも完璧な色消しを行っているのでしょう。
アイピース検査ではTele-Apotessarより優れています。
以上は色収差のみの考察で,あくまでも参考用としていただければ幸いです。
殆どが中判用レンズですが,中判はフランジバックが長いため
CCD周辺でも入射光が垂直に近くなると考えるからです。
またCANONのレンズが1本もありませんが,過去に所有したFDの
218,328,545,428いずれもが芳しくなかったので全て手放しました。
(EFレンズは高性能です。たまたま私が所有したFDレンズが良くなかっただけでしょう)