現在,海外遠征用小型赤道儀(MC100赤道儀)の基本設計を行っていますが
開発コンセプトをご紹介させていただきます。
・本体質量は6kg程度で,10kgほどの撮影機材を搭載できること
・写真撮影が主目的なので大型のウォームホイールを採用すること(90φを予定)
・クランプ操作がウォームホイールとギヤの噛合わせに影響を与えない構造であること
=ウォーム全周でバックラッシュが発生しない(特に赤緯軸で重要)
(逆にクランプフリー回転はバランスの調整と基準星の導入ができればよい)
・必ずしもパソコンが無くとも自動導入ができること。ASCOM対応であること
・消費電流が小さい駆動方式とすること(恒星時駆動時:12Vで250mA程度)
・南天でも極軸合わせが容易なこと(暗視野照明で極望の倍率が高すぎないこと)
・極軸はクランプフリーで回転し極望の芯出しが容易なこと
・極軸のみでの使用や片持ちフォークなどへの発展ができること
・クランプハンドルなど壊れやすい突起を無くすこと
・組み立てた状態でのバランスがよいこと
(三脚固定軸の延長上に荷重がかかること。緯度30~40度において)
・自動導入中,鏡筒と三脚などが干渉しても悪影響を与えないこと
・軽いウエイトでバランスがとれる構造であること
これらをイメージしてスケッチしたのが以下の図です。
ハウジングにベアリング保持された極軸(ウォームホイールと一体構造)の中を
クランプフリーで回転する,もう一つの軸を通した二重軸構造にしました。
クランプはそれらの軸をスラスト方向に力を加えて固定するので
ウォームの噛み合いに影響を与えません。(赤緯側も全く同じ構造)
また,ハーフクランプにもなるので導入中の予期せぬ干渉から各部を保護できます。
この赤道儀は私が基本設計を行い,詳細設計と材料の加工は韓国で
組み立て調整は日本で行う予定です。
発売の来春まであまり時間がありませんが
ウォームホイール(アルミ青銅製)も含め全て切削加工品なので
短期間で試作と評価の繰り返しが可能です。
秋頃には試作を行い来年春の発売を目指します。
価格は290,000円程度(軽量三脚は別途30,000円程度)を予定しています。
なお自動導入コントローラーはMC300赤道儀と互換しますので
既にMC300をご使用のお客様には190,000円程度でご提供いたします。