MC300赤道儀の受け入れ検査は
高倍率の眼視で行っていることは既にご紹介しておりますが
ピリオディックモーションの発生状況やその量も目視で判断しています。
と言うのはピリオディックモーションの出方は極軸廻りのバランスで
微妙に変化するためで追尾中に少しバランスを変えてみたりします。
ただ,一般的には赤道儀の追尾性能は
ピリオディックモーションの値で語られているため
その値を定量的に測定する意味で撮影しました。
撮影はTSC-225(Fl=2700mm)を使い,比較星はアルビレオです。
(クリックで等倍表示,ワンショットカラー冷却CCDで撮影)
露出時間は20分なので約3周期分のモーションが写っています。
振幅の一番大きいところでアルビレオの離隔(約35秒)の1/7程度なので
この個体のピリオディックモーションはP-Pで約5秒角です。
モーションの出方はやや滑らかさを欠きますが
絶対値が小さいのでガイド撮影に影響がでることはありません。
移動して使う赤道儀の場合,据付直後に発生する各部の撓みや
三脚の沈み込みなどの影響が大きいので
仮にピリオディックモーションが「0」の赤道儀でもガイドは必須と思います。
ピリオディックモーションの量は小さいにこしたことはないのですが
オートガイドを行うのが前提なのでそのレスポンスが最重要です。
今回紹介した個体は,P-Pで約5秒角なので
±表記では,2.5秒角のピリオディックモーションとなりますが
今まで行った眼視テストの結果を踏まえ±5秒を越えない程度と発表しています。
±5秒の値を保証するものではありませんが
高いレスポンスのモーターを採用していますので
赤緯の修正と併せて安定したガイド撮影をお約束いたします。
なお,下位機種のMC100とMC200(いずれも開発中)も同じ精度で加工した
ウォームギヤ(モジュールや直径もMC300と同じ)を採用します。
ポータブル赤道儀のMC100のウォームホイールは
直径が90mmなので,±8秒程度のモーションは楽にクリアーできそうです。
ポータブル赤道儀の場合はガイドを行わないケースもあるので
MC300より重要なのかも知れません。