極軸体のみを使うポータブル赤道儀では
極軸のセッティング誤差に伴う赤緯方向の修正はできません。
赤緯軸がないので当然ですよね。
これを何とか可能とするため,簡易的な方法としては
極軸の高度調整で疑似的に対処するアイデアが以前からありました。
ガタの問題から一般的には北側の三脚の下に敷物をして
それに調整機能を持たせ手で回していましたが,それで充分実用になるものでした。
簡易的とは言え,下手な赤緯軸より遊びも少なく微調整も容易です。
しかし,この方法は原理上,子午線上でのみ赤緯軸の修正と同じになるので
子午線から離れると赤緯修正時に赤経側も一緒に動いてしまいます。
以前の手動ガイドを行ってた時代では,両方を同時に動かすのは大変でしたが
オートガイダーなら赤緯修正時に赤経側も動たとしても
両軸を同時に修正するため問題ないハズです。
海外遠征用の軽量ポータブル赤道儀用としてこのアイデアが使えないか
ずっと温めてきましたが,一体型の2軸駆動モーターが完成した事もあり
試作を行いました。
昨夜晴れたので早速テストしましたが結果は完璧。
南中から3時間前後であれば全く問題なく完璧に追尾します。
心配したキャリブレーションも一発でOKでした。(Pictor201XT使用)
赤緯軸相当の調整は,極軸の高度を上げたり下げたりしている訳ですが
その量はせいぜい角度の数秒から10秒程度です。
極軸の据付精度はせいぜい5分(300秒)程度ですから極軸の高度を動かすと
言っても極わずかずらす(合わせているのかも?)だけですね。
ポータブル三脚の足1本をこのモーター駆動タイプと交換するだけ。
今後改良を重ね,商品化予定です。