フィルターホイールや冷却CCDなどを接眼部に接続する場合
ねじ込みに伴う回転角度のズレを調整するため
ロックナット方式を使うことがありますが,明るい光学系では用心が必要です。
写真は分かりづらいのですが,ダイヤルゲージの接した接続スリーブと
カメラ間の大きいリングがロックナットです。
撮影システムを一端分解すると元通りに組んでも周辺星像が大きく崩れ
スケアリングの再現性が無かったのですがこのロックナットが原因でした。
この方法は確実で平面精度も高いと思っていましたが,私の例では
締め付け時のロックナットの状態で最大150μmほど傾いてしまいます。
F値の大きいRC等では問題とならないかもしれませんが
明るいカメラレンズでは全く許容できない値です。
写真左と右はロックナットを故意に左右に寄せて締めた状態です。
よく見るとロックナットのラジアル方向の位置や
スリーブとダイヤルゲージの接触点が僅かに違うのがわかると思います。
(左の写真が左側に寄っています)
原因は,ロックナットや接続スリーブのネジの噛み合いが浅いためで
ラジアル方向のガタが大きいほど(雄ネジ,雌ネジのねじ切り精度が低いほど)
またロックナットが薄いほどこの現象が顕著に出ます。
それぞれが「ゆるゆる」の場合は要注意です。
この方式で接続されていて,スケアリングのズレに悩まされている方は
一度点検されることをお勧めします。
ロックナットを少し緩めてラジアル方向に振ると傾くのが目でも確認できます。
ナットをロックしても傾いた状態のままで固定されてしまいます。