ステッピングモーターの回転は,時計の針のように1ステップことに
カクカクと回転するので赤道儀駆動に於いてはそのステップ振動が影響して
高倍率で星を見るとピクピクと振動する事があります。
一方,ステッピングモーターが主流になるまで良く使われていた
シンクロナスモーターは,交流電源で回転しますが
この交流電源はタービン発電機等の等速円運動で作られた完璧な正弦波交流です。
元々回転運動で作られた正弦波交流ですのでそれと同期して回転するモーターは
周波数を下げても回転数が下がるだけで振動が増えたりしません。
その正弦波交流を静止機器で作るのが疑似正弦波で
マイクロステップ駆動はその技術を使っています。
1/100の減速機付きのギヤードモーターを2相励磁で駆動する場合と
減速機なしのモーターを100分割の正弦波マイクロステップ駆動する場合は
同じステップ角ですが,後者が圧倒的に低振動です。
これは前者は減速してもモーター自体は振動しているのに対し
後者はモーター自体が正弦波で円運動しているためです。
同じ周波数(PPS)で駆動していますのでステップ角は同じですが
赤道儀から鏡筒に伝わるモーター振動は大きく異なります。
高倍率観測に影響するのはステップ振動だけでなく
モーターそのものの振動が鏡筒に伝わる分も見逃せません。
写真左が一般的に使われるギヤードモーター
右がAGS-10で100分割マイクロステップ駆動するモーターです。