先日ご紹介しました,シグマ光器製の回転ステージを流用した超小型赤道儀は
(コンセプトがカメラレンズを使った天体写真撮影専用なのでアストログラフと
呼ぶ事にし,ウォームホイールの直径から開発名をAG88としています)
記事をご覧になったお客様から商品化の問い合わせをいただいておりますが
その決定は追尾精度が一桁なら開発したいとお答えしておりました。
このところ九州地方はほとんど晴れる事がなかったのですが
昨夜になって何とか撮影できました。その結果が上の写真です。
これまでも雲間からは眼視で追尾状況を確認していましたが
今回,写真の結果も眼視と同じように
アルビレオの離角の1/4~1/5ほどの振幅でしたので間違いないでしょう。
両者のテスト結果,P-Pで7~9秒角(±3.5~4.5秒角)なので
10秒以下は問題なくクリアーできそうです。
写真はバリエクステンダーを付けたFC60(FL約800mm)+EOS40D,16分間露出
天の赤道付近を撮影,比較星はアルビレオ,ピクセル等倍表示
今回,Pモーションがクリアーできたので既にお問い合わせいただいている
お客様には受注生産でお請けすることとしました。
まだ完成品の形もない状態ですが
ご興味のある方はお問い合わせいただけると幸いです。
AG88のイメージや特徴は以下のとおりです。
上の写真はドーナツ型の回転ステージ中央で極軸を支えるハウジングです。
極軸はハウジングに2個のベアリングで保持されており
スラスト,ラジアル,モーメント力はステージに伝わらない構造にしてみました。
回転ステージに加わる力は回転力のみです。
極軸自体の耐荷重は10kg以上はありそうです。
上図は極軸体の断面で上の写真との関連がお分かりになられるかと思います。
極軸と回転ステージは,極軸望遠鏡側のクランプリングで挟まれる
薄いステンレス板で回転力だけ伝える構造です。(緑のディスク部)
赤緯軸側はパノラマ雲台等を使うことを考慮した汎用性の高いコの字型金具仕様です。
ただ幾らPモーションが小さくとも安心して撮影できるのは100mm程度まででしょう。
移動の場合,三脚が地面に沈み込むことなどで
それ以上の焦点距離や長時間露出の場合どうしても星は丸く写りません。
完璧な星像を求められる方のために2軸ガイドを可能とする赤緯体も準備いたします。
リモート撮影ができるよう自動導入対応です。
今回の受注生産は今年中を目処にお請けする予定です。
ただ製作能力が限られている事や,既に手配している三脚の数量面
また,納期面でご希望に添えられない場合もあります。
特に8月に入荷する専用のカーボン三脚は残数が10本ほどになっています。
受注生産品の価格は以下のとおりです。
・AG88-F(上段スケッチの赤道儀本体+PTP-Flat三脚仕様):158,000円
・AG88GT-F(下段スケッチの赤道儀本体+PTP-Flat三脚仕様):233,000円
・AG88-C上段スケッチの赤道儀本体+PTP-Carbon三脚仕様):188,000円
・AG88GT-C下段スケッチの赤道儀本体+PTP-Carbon三脚仕様):263,000円
全機種に極軸望遠鏡(ケンコー製)と極軸高度・方位調整装置が付きます。
GT仕様にはバランスウエイトも付属しますが鏡筒取り付け部はオプション)
AG88は恒星時駆動のみ(4.5V駆動)でAG88GTは自動導入仕様(12V駆動)です。
詳細な仕様はご連絡いただければ個別にご案内いたしますが
海外遠征を強く意識し,200mm程度までのカメラレンズでの撮影を目的とした
アストログラフで,専用の三脚も含めた重量が4.5kgほどのものです。
(自動導入仕様の場合,バランスウエイトは含まず)
AG88は今年中は個別に受注生産を行い
その経験を元にお客様のニーズを反映した商品として発売を目指します。