日食撮影時の減光用ガラスフィルターとピントの関連には
以前から疑問を持っていたのですが今回テストしてみましたのでちょっと一言。
第二接触から第三接触までを撮影する場合,多くの方は皆既直前の細くなった太陽
(月縁)でピントを合わせると思いますが,その時点ではまだフィルターがついています。
個人的には,フィルターは対物レンズの前にあるので
たとえ厚みのあるガラスフィルターでも原理的にはピントへの影響はないと
思っていましたが日食経験豊かな方々は「フィルターを外すとピントがずれる」
と言われます。
そこで実際に対物レンズの前にガラスフィルターを付けた時と外した時で
本当にピントの移動があるのかテストしてみました。
結果はフィルターを付けるとピント位置が45/100mmほども後に移動しました。
理由は解りませんが,焦点深度からみて450ミクロンもずれると
写真撮影でも影響は出そうです。
大まかに言えばF8の場合,ピント位置450ミクロンのズレは
点像を50ミクロン肥大させるので経験者が言われることは間違いないようです。
(FC60+Or5mm(100倍)+BORG直進ヘリコイドSをつけ厚さ2mmのガラスフィルターを
付け外しし遠くの高圧鉄塔の碍子に反射する太陽光(ほぼ点像)で確認)
私はトルコ日食時はショップオリジナルの薄いD4フィルターを使ったため
ピントのズレは感じませんでしたが,去年のウイグル自治区日食では
そのフィルターが行方不明だったので
急遽ガラスフィルターを使って失敗してしまいました。
今回テストしたのはそのためです。
また,2001年の南オーストラリア日食時はカメラレンズでの撮影だったので
一旦カメラを地上に向け,遠景でピントを合わせたので問題はありませんでした。
今年の日食では厚みが10ミクロン程度のアルミ蒸着フィルターを使うか
ガラスフィルターの場合は一旦フィルターを外して
地上の遠景でピントを合わせるかになりそうです。
今回の結果を踏まえ,この件をネットで検索したところ
やはり「フィルターを外すとピントはずれるのでフィルターを外した後に
ピントを合わなおす必要がある」との記事があります。
だけど,一番撮りたいシーンは第二接触ですからそれは無理ですよね。